《file.1058「TVで推理ショー!?」考察》
~本シリーズのミステリーを整理~
①事件当事者の関係性・動機
②密室トリック
③事件の犯人
⑵工藤夫妻食中毒事件の真相
①三人目の優作の正体
②二人の黒タイツの人物
③事件の犯人
④犯人の動機・目的
二つの事件に関する出来事がパラレルに展開していき、それらが交錯していくようなストーリー展開になっております。
*注意*
⑴連続密室殺人事件の真相
①事件当事者の関係性・動機
twitterでVolgaさん(@Volga_conan)が指摘している通り、被害者三人の共通点はオンラインゲーム「ダンジョン・ホームズ」に精通しているということです。実際、一件目の被害者である盛田敦実さんのバスルームの棚には「DH」という文字のロゴが書かれたタオルを持っています。二件目の被害者である桐生泰二さんはダンジョンホームズのフィギアコンクールで銀賞をとっています。三件目の被害者である菅沢惟次さんは桐生さんが作ったフィギアがもっているカギの形をした時計を左にしています。ダンジョンホームズのグッズを買ったり、キャラクターのフィギアを作ったりしていることから三人がこのゲームの熱烈なファンであったと見ていいでしょう。ということで今回の事件のカギはダンジョンホームズというゲームにあることがわかりました。
さて、このゲームはコナンによると「グループでダンジョンに入ってロックとともに色々な謎を解くオンラインゲーム」ということらしいです。よって被害者三人と犯人はこのゲームで同じグループに属していて、オンライン上で接点があったことが推理できます。この線で考えたうえで具体的に推理するのは難しいですが、四人の関係は「謎解きダンジョンを共に冒険する仲間(4×1)」という当初のものから何らかのきっかけにより「3×1+1」という一人がグループから排除されるような関係になってしまったのではないでしょうか。
②密室トリック
今回の密室トリックはtwitterでGimletさん(@conan486923)が動画でわかりやすく実践していたトリックだと思います。頭の中で理論的に考えるのはかなり難しいトリックでした。自分は思いつかなかったので、Gimletさんが編み出したトリックに関するポイントを物理的観点から説明するという形になってます。
1⃣サムターンを縦方向から横方向に変化させるためにはひねる力(偶力)をかける必要がありますが、サムターンを少しだけ傾ければサムターンにうえからかける重力によってひねる力(偶力)に相当する力を作ることができる。
2⃣サムターンは容積が小さく力をかけにくい物体だが、容積が大きくてサムターンと連動
する物体をひっかければ力を容易にかけられるようになる。
3⃣密室を作るためにはドアを閉める直前までサムターンに重力がかかりすぎないようにする必要があるが、重さをかける物体の一部をドアノブにひっかければサムターンにかかる重力を抵抗力で弱めることができる。
以上のポイントを総合すると、結局このトリックはA=サムターンと連動する媒介・B=重さをかける物体、という二つの物体があれば実行可能ということになります。作中において一件目の事件ではA=ヘアクリップ・B=ドライヤー、2つ目の事件ではA=割りばし・B=ゴミ袋、三つ目の事件ではA=トング・B=フライパン、というふうにAとBとして使われた物体が事件によって三者三様だったというトリックだったのではないでしょうか。(余談ですが事件現場のドアの前に物が散乱していたのは、トリックに用いた道具をカモフラージュするためだったと思います。羽田事件に少し似ているところがありますね)
③事件の犯人
コナンが密室のトリックだけでなく、犯人が誰かもも概ねわかっているということなので今回語られた事件に関する情報のみである程度犯人の検討をつけられることがわかります。それでもう一度注意深く読んでみると、一つ目の事件現場の第一発見者である夢川彩子さんの行動に違和感があることが読み取れます。まず彩子さんは被害者宅の合いカギを所持しているにもかかわらず、管理人さんを呼んでカギを開けてもらっています。これは行動として不自然です。またさらにバスルームが密室であるだけでなく、玄関にもカギがかかっていたということは盛田さんを殺した犯人があとから玄関にもカギをかけたということになるため、事件当時に犯人は玄関のカギを所持していたということになります。盛田さんが元々もっていたカギを犯人が盗んだとするならば、捜査資料に被害者の自宅のカギが紛失していたといった情報が書かれていると思うので、特に記述がないということは盛田さんのもっていたカギは紛失しておらず、犯人がもともと玄関のカギをもっていたということになるためその人物は夢川彩子さんということになります。以上の2点から彩子さんが犯人だとみてよいのではないでしょうか。次回以降、DNA鑑定によってそのことが証明されるという展開になるのではないでしょか。
⑵工藤夫妻食中毒事件の真相
①三人目の優作の正体
ラストのシーンで三人目の優作登場しましたが、有紀子はすでに優作に変装しているためこの人物は組織の人物(ベルモット関係)orキッドとなります。もしこの優作が組織の人間であるならば、TVの推理ショーをまじかに控えており行動が制限されるリスクが高い中わざわざ優作に変装するというのは組織のやり方として非合理的であり、わざわざコナンに自分が偽物であることを前提にコナンに近づく意味が全くないため、三人目の優作の正体は怪盗キッドと考えていいと思います。
②二人の黒タイツの人物(犯沢さん)
今回の話の中で序盤と中盤に黒タイツの人物が登場します。
1⃣序盤の黒タイツの人物ですが、この人物は工藤優作の報道に対してニヤニヤしています。かの有名な工藤優作が密室事件の捜査に加担していてトリックと犯人ともに概ねわかっていると宣言されたのにもかかわらず事件の犯人が余裕綽々の表情ができるとは到底思えないので、この黒タイツの人物は事件の犯人ではないことがわかります。となると工藤優作の発言に対してニヤニヤした表情を見せて反応する人物は優作が報道で触れていたキッドしかいないでしょう。優作の「恩義を感じているのなら~」という発言に対して何か思いついて(遊び心がざわついて)ニヤニヤしていたのではないでしょうか。
2⃣べいか薬局でコナンと有希子が話していた内容を影で聞いていた黒タイツの人物についてですが、この二人の会話の内容ってコナン=工藤新一を知っていないと理解できない話ですしそもそもキッドは工藤夫妻が食中毒でダウンしていることを知ったうえで三人目の工藤優作として工藤邸に赴いています。よってこの黒タイツの人物もキッドと見て間違いないと思います。
③事件の犯人
黒いタイツの人物がキッドであるということを踏まえると、キッドは工藤優作の「恩義を感じているなら~」の言葉に対して何かを思いついたような表情をしており、べいか薬局で優作が寝込んでいて有希子とコナンで策を立てているのを聞いてまた同じようにニヤニヤしていたということになります。つまり優作の報道での発言を聞いた時点でキッドは何らかの作戦を立てていたことになり、その経過を観察していたことになります。よって工藤夫妻に毒をもってTVショーを乗っ取る算段を立てたのはキッドだったのではないでしょうか。
④犯人の動機・目的
毒をもったのはキッドだと推理しましたが、ではなぜキッドは優作のTV推理ショーを乗っ取ろうと考えたのでしょうか。そもそも今回のキッドの行動の発端は優作の「恩義を感じているのなら~」という発言にあるため、キッドはわざと工藤夫妻に恩を返すような形を自作自演で作ったということなのではないでしょうか。もちろんこれは恩着せがましい行為以外の何物でもないですが、工藤夫妻にとっては一応助けてもらったことにはなるので形式的には「恩返し」になるのかなと思っています(笑)。
今回のシリーズは100巻突入の新シリーズであるということで期待が高まりますね。メインは日常編ベースで進んでいますが、サブで組織編の話題がでることを期待してます!
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