《若狭留美考察》まとめ


(名探偵コナン91巻File.9 ©︎青山剛昌/小学館)
*若狭=17年前の浅香を前提としています(詳細は前回の考察をご覧ください)*
《若狭留美考察》過去編
*羽田浩司殺人事件=羽田事件と省略しています*
⑴若狭留美の一次情報(基本プロフィール) ①.年齢・性別
37歳(?)・女性
②.性格
二面性を持ち合わせている。普段は優しい先生だけど、時折過激で男勝りな言動が垣間見える。前者は演技、後者が素顔であると考えられる。非常に計算高い。
③.身体的特徴
眼鏡・体中に線状の傷がある・右目の視力がない(義眼かどうかは不明)
④.能力値
コナンを凌ぐほどの推理力・(片目が見えないハンデで)安室を一撃で気絶させるほどの武術力を持ち合わせている。さらに絵や料理やクラフトといった感覚的な能力も非常に優れている。まさにオールマイティな最強キャラ(通知表ならオール5)
⑤.経済力
高層マンションに住んでおり、海外の試合に出るほどのプロゴルファーと同程度の高い経済力を持っている

⑵若狭留美と黒の組織の関係
①灰原センサーが若狭に対して一瞬反応
登場人物のセリフ「失明寸前で義眼になりかけた」というセリフに対して、若狭先生が反応。このとき若狭は強烈な表情でポケットの将棋の駒を握りしめて感情を押し殺している(芥川龍之介のハンカチに似てる)。そしてこの一瞬だけ若狭に対して灰原センサーが反応するという少し複雑な描写になっています。そもそも将棋の駒は「17年前羽田浩司が御守りとして携えていた角である+若狭は羽田浩司から御守りの意味を聞いている」ことを考慮すると、若狭は17年前の出来事に関係した何かに反応したことがわかります。よって次のようなことが読み取れます。
(まとめ)
1⃣.若狭留美は17年前の羽田事件で「失明寸前義眼になりかける」ほどの負傷を負った。
2⃣.若狭留美は17年前羽田事件が起こったとき黒の組織のメンバーだった。
3⃣.若狭留美は17年前の羽田事件で自分の目を攻撃した人物に強烈な怒りを覚えている。

②若狭の「黒の組織」を示唆する発言
若狭「烏なら黒っぽくて狡猾で徒党を組んで行動する近寄りがたい人物ってイメージはもっていしまいますね…」と何気ない盤面で烏から↑のような連想をしています。ここで「黒の組織のボス=烏丸蓮耶・狡猾で徒党をくんで行動する近寄りがたい人物=組織のやり方」であることを考慮すると、次のようなことが読み取れます。
(まとめ)
1⃣.若狭留美は黒の組織のボス=烏丸蓮耶だと知っている
2⃣.若狭留美は組織のやり方を熟知している(精通している)

③若狭留美という名前には「ASAKARUM」が含まれている
若狭留美=WAKASA RUMIとローマ字表記で書けば、上の事実は容易にわかります。羽田浩司殺人事件で羽田浩司がケモメカニカル効果を用いて手鏡に残したとされるダイイングメッセ―ジ「ASACARUM(CARASUMA)」と全く同様であることを考慮すると次のような事実が見えてきます。
(まとめ)
1⃣.若狭留美は羽田事件で手鏡にどのような文字が残されていたを知っている。よって羽田事件の捜査資料を見た可能性が高い
2⃣.若狭留美は羽田事件で「羽田浩司が残したダイイングメッセージ」を解読しており、その意味も理解している。つまり黒の組織にRUMという人物がいることも知ってる。
3⃣.羽田浩司のダイイングメッセージを自身の名前に入れるという非常に大胆な行動を取っている

④時折、言動に垣間見える若狭留美の「黒い血」
《スキュタレー暗号事件》
先に現場に遭遇しすべての謎を解いていたにも関わらず警察に連絡せず、コナンが事件に遭遇するように誘導して実力を試している。
《プロゴルファー殺人事件》
事前に事件が起こることを予測しながらも警察に通報せず、コナン達を事件に誘導してコナンにわざと仕向けたことを暗に伝えるためレシートをみせる。
《燃えるテントの事件》
歩美ちゃんを人質にとりナイフをふりかざす犯人に対して全く動じず向かっていき、めちゃくちゃ怖い顔で犯人に「刺せよ、刺してみろよ、なんならわたしが手伝ってやろうか?」と発言(恐喝)
《山菜取り事件》
こどもたちがいる前でいきなり死臭の生物学的な知識を淡々と語り始める
このように若狭は決して正義側とは思えない不信な行動をとっているが、こどもたちを犯人から防衛し、時には涙まで流している。よってこのような行動は元々組織のメンバーだったことによる名残り(黒い血の名残り)によるものではないだろうか?
(まとめ)
若狭が見せる正義側とは思えないような数々の行動は、組織のメンバーだったころに流れていた黒い血の名残りである。つまりこれらの描写も若狭が元組織のメンバーだったことを示唆している。

⑤「APTX4869投与者リスト(最新)」を保持している
APTX4869についてはジンさえも組織が開発した毒薬という認識であり、その開発の真の目的や効果を知っているものはごく一部に過ぎない。APTX4869の開発は組織の極秘プロジェクトと位置づけていいと思われる(灰原も組織が半世紀前から始めた極秘プロジェクトと発言)。その極秘データを若狭が所持しているということだけでも衝撃的な事実だが、それ以外にも気になる点が複数存在する。
【1⃣.若狭はAPTX4869リストをどのような経路で入手したか】
①まずこの極秘データ(最新版)は黒の組織が管理しているため「開発に携わっているもの(シェリー)or組織の特別な幹部(烏丸・RUM・ベルモットなど)or異次元のハッカー」しか見ることができないと判断していよいと思います。灰原はデータを所持して幼児化したわけではないためここからの流出はまずありえません。よって若狭は組織の特別な幹部or異次元のハッカーの二択になりますが、もし若狭=組織の特別な幹部であると仮定すると「APTX4869に精通していながら、灰原に対して何の反応も示さない+灰原に好感を持たれている+灰原センサーが一瞬しか反応しない+自分の偽名をボスの名前で作って、テレビで報道されている+羽田事件で犯人を特定するカギである将棋の駒を17年間も携帯している+コナンの実力を試し、コナンに疑われるような行動を自らとっている」等の違和感からその線は非常に薄いと判断できます。となると若狭=異次元のハッカーと考えてよいのではないでしょうか。若狭にそのような力があるかは作中で明示されていませんが、「公安のサーバに存在する羽田事件の捜査資料を一般のネットに流出させているのは若狭留美の可能性が高い+暗号を桁違いの速さで解読する情報処理能力(コナンよりも高い)がある」ことを考えると、若狭が異次元のハッキング能力があることが示唆されていると考えるのには十分であると思われます。
(まとめ)
若狭は異次元のハッカーである。公安のサーバーに侵入して羽田事件の資料を流出させている+組織のサーバーに侵入してAPTX4869投与者リスト(最新版)を入手している。

【2⃣.若狭はAPTX4869投与者リストの意味を理解している】
若狭はリストをみてほくそ笑んでいるためAPTX4869によって17年前羽田浩司が殺害されたことを理解していると思われます。毒薬の事実を知っているのは組織の人間だけであることを考慮すると次のようなことがわかります。
(まとめ)
若狭留美は17年前の事件当時に黒の組織に所属しており、APTX4869は組織が開発した完全犯罪をなしえる毒薬であることを知っているような組織の幹部だった。さらに17年前の羽田事件において若狭留美は組織の一員として関わっていた

【3⃣.若狭はAPTX4869により毒殺されたはずの工藤新一は生きており、コナン=工藤新一であることに気づいている】
若狭は「工藤新一 死亡」とかかれたリストを見ているにもかかわらず、工藤新一が生きているという情報を聞いても驚くどころか笑み浮かべています。よって若狭は「組織は工藤新一を毒殺したと思い込んでいるが、工藤新一は実は生きており、APTX4869には幼児化という副作用があってコナンという人物に幼児化していること」という真実まで悟っていると考えられます。「若狭留美はコナン以上の推理力を持っている+コナンが学校を休んでいるときに工藤新一は修学旅行で京都に出向いている+コナンは卓越した推理力を持っている+17年前若狭は組織の幹部」という要素を考えると、実はAPTX4869に隠された幼児化という副作用があったことまで若狭なら推理できなくはないと考えられますが…。この点についてはのちにも述べます。

⑥灰原「若狭先生のこと好きだから…」と発言
燃えるテントの事件で灰原は「若狭先生から一瞬組織臭を感じる+若狭先生の右目が見えていないことに気づく」ことにより緊張が走りましたが、なぜか事件後の最後のシーンで「若狭先生のこと好きだから悪く言わないでくれる?」とコナンに発言しています。これはコナンにとっても読者視点でもいまだに真意がはっきりしていない部分です。幾通りにも解釈しうる部分ですが、今まで導いてきた推論「若狭先生は過去にAPTX48969ボスの正体を知っているほど黒の組織で地位が高かった(17年前)」という要素や「頭脳・武術ともに達人級の力がある最強スペックの持ち主」という要素などを考えると「若狭留美は黒の組織で英才教育を受けた超切れ者で優秀な幹部だった」と考えられます(余談ですが若狭先生ってキュラソーを彷彿をさせる部分があります)。
この境遇って灰原と似ている部分があると思いませんか?灰原も組織内で教育され、実際アメリカに留学させれていたことなどが作中でも述べられています。つまり灰原が若狭先生に好感をもったのは論理的な思考ではなくて、自分と同じ臭いを直観で感じとったからなのではないでしょうか?(自分と同じ臭いとは自分と同じように幼少期から組織内で英才教育を受けて組織の優秀な幹部になったが、途中で組織を裏切り脱走したという共通点」のことです。)つまりこの描写は若狭先生と灰原の歩んだ人生が似ているという共通点を示唆したものだったのではないでしょうか?(また補足として母エレーナは灰原が生まれてすぐになくなっており、灰原は母についてテープのメッセージを通してしか知りません。よって灰原が母と子の間に生まれる親近感を感じることはほぼ不可能なので、灰原が若狭にもつ好感とは親族的なつながりではないことがわかります)
(まとめ)
灰原が若狭先生に好感をもっている描写は親族的な親近感を表しているものではなく、二人が組織で英才教育を受け幹部となったが、組織を裏切り脱走したという人生の共通点示すものだった

⑶若狭留美と羽田事件の関係
①若狭留美は羽田事件の関係者である
これは容易にわかることですが若狭留美は生前の羽田浩司と会話をしており「それでも僕を殺すというのですか?」と言われています。さらに羽田浩司の(事件現場の)死体をフラッシュバックしているというところから、羽田事件に関わっていて実際の現場にいたと考えて間違いないでしょう。では事件時にどのような立場だったかを次のセクションで考えていこうと思います。

②羽田事件における若狭留美の立場
ここでは詳細は省きますが、17年前の羽田事件時では若狭留美=浅香だったと推理しています。
17年前の若狭留美について考察
さらに⑵の推理により、羽田事件時に浅香は黒の組織の幹部だったという面も持ち合わせていたことが考えられます(補足:浅香はアメリカの資産家アマンダのボディーガードであり、雇い入れた経緯は不明とされている)。すなわち羽田事件時に若狭留美=浅香は「黒の組織のメンバーで、アマンダのボディーガードとしてアマンダ家に潜入したスパイであった」ということになります。では浅香は事件時に具体的に何をしたかについては「羽田浩司殺人事件の考察」という記事で詳しく説明しています。

③若狭留美と羽田浩司と将棋の駒「角」
1⃣.羽田事件における将棋の駒「角」
羽田事件の公安の捜査資料により羽田浩司が生前御守りとして持っていた将棋の駒「角」がなぜか現場からなくなっており、羽田夫妻は「角を持ち出した人物=犯人」だと主張しているということでこの角が事件の最重要物品として位置づけられていました。しかしその角をなぜか若狭留美が所持しており、外出する時は右ポケットにいれていつも携帯していることがわかっています。なぜでしょうか?(補足:事件現場で浅香とは別の人物が角をとり、それを浅香が奪い取ったという線は「別の人物がなぜ角をとる必要があったのか+なぜその角を持ち続ける必要があったのか+なぜそこまでして浅香は角を取り返す必要があったのか」という点が非常に不可解なため、単純に「17年前に浅香は何らかの理由により現場から角を所持することになり、17年間角を携帯し続けていた」と断定していいと思います。)

2⃣.若狭留美と羽田浩司の結びつきを整理
(整理)
A.若狭留美は御守りという言葉から生前の羽田浩司を連想しているため、若狭留美は羽田浩司が御守りとしていた角に込められている思いを聞かされている
B.若狭留美は羽田浩司に「それでもを殺すというのですか?」と尋ねられている
C.若狭留美は血から吐血して倒れている羽田浩司を回想している
D.若狭留美は羽田浩司が吐血して倒れている姿を回想したあと右目を抑えて倒れこんでいる
E.羽田浩司の御守りを17年間も肌身離さず携帯している
F.若狭留美は安室にとられた駒を力づくで奪い返してい
まず注目すべき点はE・Fです。若狭は羽田浩司の手鏡のダイイングメッセージを読み解いているため、当時の現場の状況を何らかの形でしっていたことになります。となると角を持っていると羽田事件の容疑者として扱われることも熟知していると思われます。しかしその駒を17年間もの間もっており、安室からも力づくで取り返しているという一見非合理的な行動を取っていることから、「若狭にとって羽田浩司の御守りは特別な価値や意味がある」ことがわかります。次にC・Dに注目すると17年たったあとでも言葉や血から羽田浩司の死体をフラッシュバックしているということは、若狭にとって羽田浩司が血を流して倒れているということは予想外の出来事だったということが読み取れます。つまり若狭留美は羽田浩司を殺してはおらず、むしろ死んでいたことが衝撃的(ショック)だったということになります。しかしBより羽田浩司に「殺すのか?」と尋ねられていることから羽田浩司にとっては当初若狭が自分を殺そうとしていると予想していることは確かです。ではなぜ若狭留美は途中で羽田浩司を殺すことを躊躇したのでしょうか?

3⃣.羽田浩司が若狭留美に与えた影響とは?
若狭=浅香は組織の人間として、羽田浩司を殺害する予定だったがなぜかためらっている。よって羽田浩司が若狭に対して何らかの行動を取ったことで若狭の心の中に変化が起こったことになります。若狭の回想の流れをたどるとその行動こそがAであり、将棋の御守りに隠された意味とリンクしていると考えられます。また若狭が羽田浩司の角に特別な意味を見出していることから、羽田浩司が組織のメンバーであった若狭=浅香に対して将棋の御守りに関する話で諭すことで、若狭の色(立場)を黒(悪)から白(正義)に変化させたということになります。

4⃣.羽田浩司が御守りを通じて伝えたメッセージとは?
御守りについては次のことがわかっています。
A.御守りにしている角は羽田浩司が初めて師匠に勝った試合で最後に指した一手
B.羽田浩司は御守りを持ちながら若狭留美に対して「遠見の角に好手あり」と発言している
ここでBで出てきた「遠見の角に好手あり」という格言は将棋の格言であり、一般的には「相手から取った筋違いな角である、自陣にさしている、睨みを利かせている」という3つの条件を満たす角は好手になりやすいという意味です。将棋に多少精通していないと意味はわからないと思うのですが、相手からとったという部分が重要ということだけとわかっていただけたら大丈夫です(この部分については別の記事で詳しく解説します)。A・Bから羽田浩司が師匠に勝ったときに師匠にとどめをさした角は遠見の角だったことが予想できます。ではこの格言を通して羽田浩司は若狭留美に何を伝えようとしていたのでしょうか。羽田浩司はダイイングメッセージで烏丸の文字を残しているのでおそらく自分を狙っている人物が烏丸家の人間であるっことを事前に知っていたことになります(それがなぜかはわかりませんが、アマンダ家・羽田家・烏丸家がすべて資産家でありアマンダがFBI・CIAに精通していることを考えるとアマンダ家と羽田家はホワイトな資産家で交流があり、アマンダが烏丸の悪い噂や他の資産家に攻撃を加えていることを羽田浩司に元々忠告していたのではないかと思ってます)。この前提と羽田浩司がわざわざ将棋の格言を使ったことを考えると、羽田浩司は「羽田家(などのホワイトな資産家たち)と烏丸家という資産家の財閥争いを将棋の戦い」に例えたのではないか、また若狭留美=浅香(烏丸家からの刺客)を自身の御守りの角に投影したのではないでしょうか。具体的に説明すると「浅香は今は烏丸家の角(組織の幹部)ではあるけど、羽田家の遠見の角(羽田家の護衛・ボディーガードをしながら烏丸陣営に睨みを利かせる人物)となり、自身の御守りの角のように最後に烏丸蓮耶(烏丸家の王将)にとどめをさす切り札にきっとなれる」という意味です。これ以外にも羽田浩司が何かしらに説諭をした可能性もありますが(他例えば工藤優作の小説で出てくる「やりなおすのに時の縛りはない」といったセリフなど)、おおむねはこのような趣旨の助言をした結果、若狭の黒い心を羽田浩司が射抜いたこのタイミングで若狭は組織を裏切ることを決心したのではないかと推理しています。

5⃣若狭留美が17年間肌身離さず「角」を持っている理由
今までの推理をもとにすると、次の2つが考えられます。
A.若狭は幼少期から組織で英才教育を受け組織の幹部になった人間で、灰原のようにそこから組織を裏切って逃亡したとなると各国の警察からも黒の組織からも逃げ続けるという状況に陥り、完全に孤立します。そのとき自分を変えてくれた特別な人間である羽田浩司の御守りを持ち続けることで、孤独から逃れ自分の精神を保つ心の支えにしていたから
B.羽田浩司が自分に伝えた使命・助言「羽田浩司の御守りの角のように最後、組織の王である烏丸蓮耶にとどめを指す切り札になれる」という信念を常に保つため
このような意味で若狭留美にとっては羽田浩司の角は特別な意味や価値を持っているのだと思います。

④.羽田事件の資料をネットにアップしているのは若狭留美
(この考察については別の記事において述べているのでそちらを見ていただけると嬉しいです)
「羽田浩司殺人事件のネット記事」をアップしてるのは誰?
若狭留美が羽田事件の公安資料を盗み、角の情報だけ削除してネットに公開している理由は次の2点だと思います。
1⃣角の情報が出回れば自分が角を持っている自分が羽田事件の犯人として疑われる可能性が高くなるから
2⃣羽田浩司が命を絶つ前に最後の最後で機転を利かせて組織を出し抜き手鏡にダイイングメッセージを残しているのに、公安警察は17年たっても具体的な行動を起こさず事件が解決してないため、一般人に公開させて風化した「羽田浩司が最後に残した組織への反撃の一手(CARASUMAというダイイングメッセージ)」に命を吹き込んでくれる切れ者が現れてくれることを期待しているから

⑷若狭留美の目的(現在)
*若狭=17年前の浅香=羽田事件で組織を裏切った黒の組織の幹部、若狭=白という前提です*
①コナンへの興味
1⃣コナンの実力を分析
まず若狭先生は初登場の91巻『強盗団と暗号事件』ですべての真相を先に解いたうえでコナンが事件に遭遇するように誘導しています。さらにコナンの様子を観察してつつ、コナンが推理に行き詰まるとそれとなくヒントを出して手助けしていることがわかります。よって若狭先生は「コナンがただの小学生ではなく、卓越した推理力をもっている少年であることを元々知っていた(伝聞)+実力を自分の目で見て測ろうとしている(見物)」ことが読み解けます。次に92巻『プロゴルファー殺人事件』でも事件が起こることを事前に予想したうえで、コナン達が事件に巻き込まれるように誘導しています。さらにコナンの座布団の横にわざとレシートを置くことでコナンの注意が自分に向くように仕向けており、コナンと若狭はこの時お互いを探り合うような表情を見せています。ここで若狭が自らコナンの注意を惹いたということは、若狭はコナンと何らかの接触をとろうとしていることも読み解けます。また97巻『山菜取り事件』では自分が四つ葉のクローバーを捨てる所をわざとコナンに見せています。これもわざと意味深な行動をコナンに見せていると読み取れるので、同様にコナンに自分に気を向かせると同時に自分の内情を少しずつ醸し出していることが読み解けます。以上の三つのストーリーからコナンに対しての興味や目的が少し垣間見えました。
(まとめ)
若狭は「コナンが卓越した推理力があることを事前に知っていた+コナンの実力を自分の目で測ろうとしている」。さらに若狭はわざと自分の内情を暗示するような言動をコナンに対してとること(アピールすること)で、コナンの注意を自分に惹き何らかの交流を図っている。

2⃣「コナン=工藤新一」まで辿り着いている
上の考察だけでは若狭先生がコナンのことをどこまで知っているのかは判断できませんが、95巻『修学旅行編』のラストで若狭先生がAPTX4869投与者リストを持っており、見え笑みを浮かべている描写がラストで出てきました。これは明らかに違和感があります。普通リストに【工藤新一 死亡】と書かれているのにもかかわらず、工藤新一が事件を解決したというニュースが流れれば「なぜだ!?」と驚きと疑問の反応を示すのが自然です。しかし若狭は「笑みを浮かべていた」ということはこの矛盾がなぜ解けるのかをすべて察したことになります。つまり若狭は「【工藤新一 死亡】と書かれているがこれは実は誤りであり工藤新一はAPTX4869を飲んではいるが幼児化したこと+そしてその幼児化した姿がコナンであり、コナン=工藤新一である」という真実にまでたどりついていることになるのです。なぜでしょうか?。確かにA.若狭はコナンのクラスの副担任であるため「工藤新一が修学旅行にでている日時とコナンが休んでいる日時がピタリと一致している」ことを知ることができます。またB.「コナンが名探偵並みの推理力があること」を若狭は事前に知っており、自分の目でもそれを確かめています。さらにC.若狭は「APTX4869投与者リストの意味」を理解しています。これらの情報を若狭が持っていることを考えると、たしかに若狭が工藤新一の真実にたどりついていることに納得がいくように思えます。しかし人が幼児化しているという仮説は実際にその現象を体験したか、目撃していないと到底思いつかない仮説です。よって若狭はD.「幼児化という現象を想定することができた何らかの経験をしている」ということが読み解けます。
(まとめ)
若狭留美は「工藤新一はAPTX4869を飲まされたが死んでおらず幼児化しており、コナン=幼児化した工藤新一である」ことに気づいている。若狭は過去に幼児化という現象を想定することができた何らかの経験をしている。

3⃣コナンの推理方法を熟知
97巻『山菜取り事件』で事件の真相を見抜いたコナンはおきまりの流れで山村警部を眠らせて推理をします。ここで若狭留美はコナンが山村警部に何かをして眠らせているのを見て笑みを浮かべています。これは②と同じくこの時点で若狭先生はコナンの行動の意味をすべて理解していたことになります。しかし振り返ってみると若狭先生がコナンの推理ショーを見たことは一度もありません。確かに91巻の『強盗団の暗号事件』で若狭は麻酔銃の存在とそれを作っている博士の存在を知っているので、調査をすれば麻酔銃変声器の存在を知ることはできたと思います。しかしコナンの推理ショーを一度も見ていないのにもかかわらず、麻酔銃で警部を眠らせるところを見ただけで「コナンがこの後に変声器を用いる+山村警部の振りをして推理をする」ことまではさすがの若狭先生でも読み取れないと思います。よって若狭先生は誰かから事前にコナンの推理方法を聞いていたということになります。つまり若狭先生はコナンの推理方法を熟知している人物とコネクションがあるということになります。
(まとめ)
若狭にはコナンの推理方法を熟知している人物とコネクションがある。

②協力関係
1⃣MI6チーム(メアリー+真純)
A-③について考えると、そもそもコナンの推理方法を熟知しているのは公安チーム(安室+黒田)とMI6チーム(メアリー+真純)の二グループしかありません。しかし安室も黒田も若狭に疑念をもっている描写が描かれており、明らかに連携していないということから若狭はMI6チームとコネクションがあることがわかります。さらにA-①について何のヒントもなしにコナンの実力にたどり着くことはほぼ不可能だと思うので、事前に若狭はある人物からコナンの実力を聞いていたことになります。しかしその実力を自分の目で見て確かめる必要があるのは、そのコナンの実力が半信半疑な人物しかいません。公安チームやFBIチームはその実力を肌で感じているため、除外されます。他にコナンの実力があるということを聞いてはいるけれど(伝聞)、その実力が半信半疑である人物はコナンをいまだ疑っているメアリーしかいません。このことからも若狭がメアリーと情報共有をしている可能性が高いことがわかります。さらにA-②のまとめで書いた「幼児化を想定することができた経験」という部分についても、若狭が幼児化したアリーの姿を実際に見たということだと考えれば説明がつきます。つまりこの仮説は①の1⃣~3⃣の条件をすべて満たす仮説になっています。このことからも若狭がMI6チームとつながりがある可能性は非常に高いでしょう。補足として赤井が「浅香(=若狭)は世良の近くにいるSPのような人物」と予想していたり、MI6チームのメアリーが「浅香は女」という情報に対して「そんなことか、くだらん」と言い放っていることからメアリーは浅香についてより重要な情報をもっていることなあどからもMI6チームと浅香=若狭とのつながりは示唆されていることが見て取れます。

2⃣羽田夫妻
90巻でコナンと赤井が羽田浩司のダイイングメッセージが「ASACA RUM」になると気づいた直後の事件で赤井秀一は「浅香が世良の近くにいるSPのような人物」なのではないかと判断しています。つまり赤井はダイイングメッセージからASACA=RUMの線が現れた直後に、浅香は世良とつながりのある味方だと判断していることになるため、この間には考えが変わる何らかのターニングポイントがあったことが予想できます。そのターニングポイントとは「浅香は世良の近くにいる+浅香は味方」だと思える何らかの情報提供があったという場合しかほぼあり得ないです。そもそも赤井と情報交換ができるのはコナン・FBI・羽田秀吉ですが、コナンはこの段階で浅香=RUMと考えていたので除外、さらにFBIからの情報ならばFBIは羽田事件の最重要容疑者を味方だと判断して放置していることになるため除外、となると赤井はこの情報を羽田秀吉から受け取ったという可能性しか残っていません。よって秀吉は羽田夫妻or真純から浅香(=若狭)とMI6チーム(真純)の接点を聞いていたということになります。さらに若狭は高層マンションに住んでおり、経済力が非常に高いことがわかります。羽田事件を契機に逃走していた人間がそう簡単に金持ちになるとは考えられないため、経済面からの支援を行っている人物がいると見ていいでしょう。そもそも高層マンションに住まわせるほどができるほどの経済力がある人物は資産家といった財閥のみであることを考えると、どれほど密なつながりかはわかりませんが少なくとも経済面で若狭は羽田夫妻はつながっていると考えられるのではないでしょうか。

③コネクションの原点「赤井務武」
1⃣逃亡の協力者
羽田事件が起こった直後の若狭=浅香の状況は各国の警察+黒の組織から追われる立場(自分以外は敵=孤独)だったが、右目を負傷し体中に傷を負いながらも17年間逃走して生き延びています。さすがの若狭でもこれを一人でやりのけるのは不可能だったと思うので、若狭の逃走を手助けした協力者がいたことが見えてきます。ここで公的な機関(FBIや公安)にとって浅香は羽田事件の最重要容疑者であることに注意すると、これらの機関が協力する変化があったのならいずれにしても一度は逮捕して事情を聞いた上での協力であると考えられるため、少なくとも浅香逮捕のニュースが一度は報道されているはずです。そのような情報が一切出てきていないということは、協力者は公的な機関ではなく私的な人物であった可能性が高いと推理できます。

2⃣浅香を唯一理解する達人級の推理力
私的な人物で羽田事件の真相を追いつつ、事件の最重要容疑者とされている浅香を強制的に捕まえずに保護するほど事件に対して深い洞察力がある人物はたった一人「赤井務武」しかいないのではないでしょうか?実際、赤井務武は事件の黒幕の存在を悟っており、赤井秀一以上の推理力があったことを仮定するならば、逃亡した浅香の正体や境遇を推理したうえで保護するという選択をすることが出来たと思います。事件の調査をし始めた当初、赤井務武は羽田事件の手がかりを探っていたと思われるで、その大きな手がかりとして浅香を探していて、捜査局よりも先に一人の探偵として浅香を発見していたということにも行動の流れとして納得がいきます。また浅香目線で考えると「他人は全て敵である(孤独)」という状況に陥っていた浅香が赤井務武を信用するかという問題がありますが、赤井務武が「羽田浩司の残したダイイングメッセージから黒幕が烏丸家であること+浅香がその組織を裏切り逃走しているという境遇」を全て推理して浅香に話したとなると、浅香もその赤井務武の推理力に脱帽すると同時に唯一自分を理解してくれる人物と出会えたことで全ての他人を敵とみなしていた浅香でも赤井務武には心を開いたのではないかということが見えてきます。さらに若狭がコナンを凌駕する推理力がある理由については不明ですが、達人級の推理力をもっていた赤井務武とともに行動をともにしていたからと考えることで説明がつきます。

3⃣浅香=探偵「赤井務武」の切り札
またベルモットが赤井務武の顔や所属を知っているいたということから、赤井務武はベルモットと対峙するほど過去に組織を追い詰めたということがわかります。赤井務武が一人の力で組織の中枢まで攻め入ることが出来たとは少し考えづらいため、ここからも赤井務武には組織を知る上での切り札(協力者)を持っていたことが考えられます。また黒の組織が三年をかけてまで赤井務武になりすましMI6に潜入しようとしていた理由も、赤井務武(MI6)組織が何としてでも消し去りたい裏切り者である浅香を保護していたことが分かったからなのではないでしょうか?このように考えると赤井務武が黒の組織の中核まで迫ったことも組織が必死になってMI6に侵入しようとしているのも納得がいきます。

4⃣浅香情報の全ての原点「赤井務武」
MI6チーム(メアリー)FBIチーム(赤井秀一)が浅香に関する特別な情報を持っているのかという不可解な点がありますが、二人とも羽田秀吉経由で羽田家との関係があるということになるため羽田家には浅香と接点をもつ何かがあったのではないかということが見えてきます。その接点とは羽田事件を羽田家に依頼されて調査していた探偵「赤井務武」だった可能性が高くなります。羽田家・MI6チーム(メアリーら)FBIチーム(赤井)がどのような順番で浅香に関する重要な情報を手に入れられたのかはわかりませんが、いずれもその原点が赤井務武だったという可能性は高いのではないでしょうか。
まだまだ赤井務武に関してはヒントが少ないですが、この仮説に関する状況証拠は複数存在しているため一つのストーリー展開として意味のある仮説なのではないかと今のところ感じています。

④若狭先生の目的
1⃣コナンとの協力関係
①の1⃣〜3⃣を考慮すると若狭はコナンの実力を自分の目で確認したうえで自分の内情をほのめかしてコナンにアピールをしています。ここから若狭はコナンと何らかの接触を目論んでいることがわかりますが、若狭はコナン=工藤新一ということに気づいたうえで工藤新一にも興味を示しています。よって若狭はコナン=工藤新一が組織に殺められそうになりながらも生き延びた人物であり組織と敵対している切れ者という境遇・立場・実力をよく理解していることになります。一方で若狭は組織を裏切り逃亡しつづけ、現在は白=正義という立場で組織と敵対関係にあります。このような立場の共通点から、若狭はコナン=工藤新一を共に「組織と戦う」という共通の目的をもった味方として協力にしたいと考えているのではないでしょうか。
2⃣贖罪
また若狭は四つ葉のクローバーを投げ捨てるという形で「自分は殺人という罪を犯してしまった人間であり、罪を償う前に幸せになっちゃいけない」という心情を表現していました。この罪に組織に命令されて逆らえなかったとはいえ、自分を信用してくれていたアマンダを殺してしまったという罪が含まれていると思います。若狭はこのことを罪として向き合っているため、せめてもの罪滅ぼし=贖罪として自分がたとえ犠牲になろうとも組織を壊滅させようとしているのではないでしょうか。

3⃣羽田浩司の敵討ち
また若狭は将棋の駒を(おそらく)17年間も持ち続けていることから、羽田浩司を守れなかったという自分の過去を背負いつつ、自分を変えてくれた羽田浩司が御守りである将棋の駒に込めて伝えてくれた思いとメッセージに応えるために組織を壊滅させ羽田浩司の敵討ちを取ろうとしているという思いももっていると思います。

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