FILE.1070『こんな所で会えるとは…』組織編考察

「若狭留美」「宮野夫妻」という二つのテーマを軸に1070話の組織編考察をしていきます。



【若狭留美編】


⑴若狭留美×黒の組織

今回のシリーズについて青山先生は事前に「灰原回」になると予告していました(あつもり情報)が、若狭先生の心中からヘルエンジェル宮野志保の名が出るなど、シリーズ一話目からして爆弾が投下される衝撃的な回になり、今回のシリーズはワクワクが止まりません!!灰原回であると同時に、RUMの正体が判明したが未だ謎の多い若狭先生にもフォーカスされた「若狭回」にもなりそうですね。


さっそく考察の方に入っていこうと思いますが、まずは今回1070話の衝撃の1ページ(若狭留美が宮野志保について回想するシーン)から見えてくる若狭先生と黒の組織の関係から考えていこうと思います(*別の記事↓で既に若狭留美の正体に関する推理を述べていますが、今回の話のみからも同様の結論を導くことが出来るので、その推理について書いていきます)


《若狭留美考察》まとめ


①若狭留美宮野エレーナ

若狭先生が宮野明美の名前に反応するコマは今回の話の中でも最もインパクトのあるシーンだったと思いますが、このシーンは今まで度々示唆されてきた若狭先生と黒の組織の関係を決定づける大きなヒントになっています。まずは若狭先生が心の中で呟いていたエレーナに関係する組織の情報を整理してみると…


(a)ヘルエンジェルこと宮野エレーナには二人の娘いて、その名前が宮野明美・志保であること

(b)宮野夫妻が開発した17年前のAPTX4869が毒薬としての作用を持つこと

(c)羽田浩司がAPTX4869のより毒殺されたこと


3つに分解して整理してみましたが、まず(a)で若狭先生が宮野エレーナのことを組織内部でしか使われていない研究者の独特の呼び名(ヘルエンジェル)と呼んでいる時点で組織の内部にいたことがあるのは確定です。次に(b)~(c)に注目すると、若狭先生はジンですら知らなかった17年前のAPTX4869に関する内部情報を持っていることがわかるので、宮野夫妻が組織にいた約17~19年前の時点では組織内部にいた人間に限られてきます。よって若狭先生は少なくとも17~19年前の時点では黒の組織の内部の人間、組織のメンバーだったということになります。


さらに宮野夫妻が開発していたAPTX4869の情報に着手できるほどの人物となれば、それは組織の中でも高い地位をもつ人物すなわちコードネームを持っているような幹部の人間だった可能性が高そうですよね。以上の推理から若狭先生は少なくとも約17~19年前の時点でコードネームを持つような黒の組織の幹部だったのではないかと推理できます。



②若狭留美宮野志保

上記の推理により若狭先生は少なくとも19年前の時点で黒の組織の幹部であったという結論を導きましたが、この結論からさらに新たな若狭先生の謎が生まれてきます。それは「今現在の若狭先生も組織のメンバーなのか」という疑問です。この謎については一見すると今回の話からだけでは判断出来ないように感じますが、若狭先生のエレーナと志保との情報量には差があることに注意すれば、自ずと答えは見えてきます。つまり前の考察とは逆に「若狭先生が(組織について)知らない情報」に注目するという発想です。


若狭先生は宮野夫妻の娘である宮野志保の情報については両親の研究を引き継いでいたが、組織を裏切ったということまでは把握しているものの、組織の人間が宮野志保を呼ぶ時に用いるシェリーというキーワードが出てきませんでした。宮野エレーナについてはヘルエンジェルという呼び名を用いていたのにも関わらず、宮野志保についてはシェリーという呼び名を用いなかった…単にこの時はヘルエンジェルの娘と表現しただけで本当はコードネームを知っていたという可能性もありますがこの情報の差は気になりますね。


さらに強烈な表情を見せ心中で呟いていた一言「この子が!?まさかねというセリフを見る限り、若狭先生は宮野エレーナに二人の娘がいることを知っているのにも関わらず、明美の元同級生の指摘をうけるまで灰原=宮野志保であるという疑いを持っていなかったことが読み取れます。つまり若狭先生は17年前の時点で組織にいたのにも関わらず、幼少期の宮野志保の顔を知らなかったということになるわけです。これらを一旦まとめると以下のようになります。


(a)宮野志保がAPTX4869の研究を引き継いだがのちに組織を裏切ったことは知っているものの、宮野志保のコードネームがシェリーについて言及していない

(b)宮野志保の幼少時代の顔を知らない

若狭先生がもし約17~19年前から現在まで組織の幹部であるとするならば(a)(b)を知らないのは明らかに矛盾しているので、若狭先生はあるタイミングで組織を抜けて現在は組織のメンバーではないつまり元組織のメンバーであるということが見えてきます。特に(c)を知らないということは約13年前〜約19年前の時点で既に組織から抜けていたと考えて良さそうですね 


[補足]

(さらに若狭留美はNOCだったがそれが組織にバレて脱退したのか、それとも元々純組織のメンバーだったが組織を裏切ったのかという疑問についてもこれよりも前の話を考慮すれば一応推理することが可能です。そのヒントとなるのは85巻『緋色のエピローグ』…RUM編が開幕した時の話ですが、この時20年以上前から組織に在籍しているベルモットが安室に対してNOCだとわかった人物はイーサン本堂・赤井秀一・スコッチの三人だと断言しているので、若狭先生がNOCだったという可能性はまず低いと考えられます。またそう考えられる根拠がもう一つあって、それは若狭先生が「事件が起こることを事前に察知しながらもそれを利用してコナンの実力を測ろうとする(プロゴルファー殺人事件)」などの完全には正義側と言えないような行動がいくつか散見されることです。元々組織に属していた人間だったとしても組織から脱退した潜入捜査官ならまずこのような行動はしないでしょうから、若狭留美はNOCだったのではなく「元々純組織のメンバー」だったという推理が妥当だと思います)


【結論】

若狭先生は1718年前の時点ではコードネームを持つような組織の幹部だったが、約1317年前のあるタイミングで組織を抜けた元組織のメンバーだった

(*余談ですが、自分は「あるタイミング=羽田浩司殺人事件」だと考察しています。詳細は以下の記事に書いているので気になる方はこちらを参照して見てください)


《羽田浩司殺人事件》ピース編



⑵若狭留美×灰原哀

今回もう一つ注目していきたいポイントは「若狭×灰原」のカップルです。この二人には何らかの繋がりがあることがこれまでの話で度々示唆されては来ましたが、RUMが判明した1066話以降も未だその繋がりは明らかになっておらず、謎のままです。しかし今回の話を通じてこの二人に隠された繋がりやお互いの関係性が大きく変化していくきっかけになりそうなので、過去回の復習もしながら考察していきたいと思います。



①若狭留美灰原哀

これまでの若狭先生登場回を振り返ってみると、若狭先生は初登場回からコナンに目をつけていることがわかっています。初登場の『スキュタレー暗号回』ではわざとコナンが事件に遭遇するように誘導したり、コナンが暗号を解く様子を観察してさりげなくヒントを出したりさらに『プロゴルファー殺人事件』ではわざとコナンにレシートを見せて何かをアピールしようとしている仕草をみせたりと、これまでの興味の対象は一貫して「江戸川コナン(+工藤新一)」であり、灰原に対してはあまり興味を示していない様子でした。

しかし今回の一件によりいよいよ若狭先生の興味の対象がコナンだけでなく灰原にも及んでくることになりそうですね。若狭先生にとってコナンの近くにいる大人びた少女という認識でしかなかった灰原が、実は「ヘルエンジェルの娘である宮野志保の幼少時代とそっくりの容姿をもつ少女だった」という事実は、若狭先生の好奇心を駆り立てるのに十分すぎる衝動でしょう。



②灰原哀→若狭留美

まずは灰原が若狭先生に対してどのような態度を見せてきたか振り返ってみます。

若狭先生が初めて登場した頃(91巻〜92)…灰原は若狭先生を怖がりでドジで頼りないけど面倒見のいい優しい先生程度に思っている様子で、特に興味も警戒もしていない様子でした。


しかし『燃えるテントの怪事件』(93)で、灰原は若狭先生に一瞬でしたが組織センサーを感じ取った後に右目が見えていないことに気づいて、一気に緊張感が高まり警戒し始めます。それでもなぜか事件解決後には一転して「若狭先生のこと好きだから悪くいわないでくれる?」とコナンに一言。その後若狭先生を警戒するコナンとは対照的に、灰原は若狭先生の言動に時折反応したり神妙な面持ちで若狭先生を見つめたりする(97巻・99)だけで、特に警戒している様子はありませんしむしろ何かを感じ取っているような素振りをしています。



コナンも首を傾げる灰原の不可解な反応(「若狭先生のこと好きだから!」)についてですが、そもそもこの感情自体が灰原の感覚によるものであるのに加えて原作でもほぼノーヒントなため、この灰原の心理を推し量るのは至難の業です。しかし推理のヒントが全く存在しないわけではなく、灰原が好きと公言している手がかりとなる人物が1人存在します。それは灰原が好きなサッカー選手「比護隆佑」です。


比護選手が好きな理由について灰原は「ノワール東京(サッカークラブ)が比護選手を獲得するために大切な弟を利用していたことを理由に所属クラブを裏切ったという境遇が、唯一の肉親であった大切な姉を組織に殺されて組織を裏切ったという自分の境遇に似ているからかも」と自己分析しています。


この点をヒントとして考えると灰原が組織センサーを感じたのにもかかわらず若狭先生を好きと言ったのは、自分と同じ匂いすなわち過去に組織を裏切った人間であることを感じ取ったからだったのではないか、という一つの仮説が生まれてきますね。これは先程推理した若狭先生が元組織のメンバーであるという推理とも上手く噛み合っているので、もちろん仮説ではありますが現状ではこの考察が最有力かなと思っている次第です(他にも有力な仮説があれば教えていただけると嬉しいです!)



③裏切り者の邂逅

(*以下、若狭先生は元の組織の幹部で羽田事件を機に組織を裏切った人物であるという考察を前提としています)

若狭先生は17年前に組織を抜けているので、普通なら17年間の組織の内部事情をほとんど知らないと思われますが、修学旅行編のラストシーンのように(工藤新一 死亡と書かれた)最新版のAPTX4869リストを閲覧したり、今回のように宮野志保の最新のに内部事情については把握していたり何らかのルートで現在の組織の情報を入手しているようです(現在はハッキング説が最有力ですね。もしくはMI6→メアリー→若狭留美or務武→若狭留美いう情報ルートかも)。組織の狡猾さを知っている若狭先生なら、たった一人の新薬研究者が組織を裏切って逃げ切ることなど不可能なことくらい熟知していると思うので「宮野志保はAPTX4869の研究を引き継いだが、組織を裏切っていた」という情報を入手した時点で、宮野志保はもう組織に殺されてしまったと思っていそうですよね。しかしコナンのそばにいる目の前の少女が実は幼少時代の宮野志保にそっくりだった…ここから若狭先生が宮野志保=灰原哀にたどり着けるかどうかは、若狭先生がAPTX4869にはという主作用だけでなく幼児化という副作用が起こりうることに気づいているのか、この点がカギになってきそうです。



若狭先生は初登場時からコナンの推理力が高いことを知っていてコナンの実力を試すような行動をとったり、メアリーサイドと繋がっている描写があったり、修学旅行編のラストシーンでAPTX4869リストに「工藤新一 死亡」と書かれているのにも関わらずニヤけているシーンがあったり…総合すると若狭先生は「工藤新一=江戸川コナン」であることに確信をもっていそうなので、17年前の羽田浩司殺人事件に毒薬として使われたAPTX4869には「幼児化という別の副作用」が存在することに勘づいていると思います。若狭先生はこのシークレットカードをもっていそうなので、宮野志保が何らかの経緯でAPTX4869を服用したが偶然幼児化して灰原哀として生活していることにすぐたどり着く気がしてます。



一方灰原視点としては若狭先生が自分と同じ裏切り者であることまでは無意識に感じ取っているとは思いますが、それ以上の真実にたどり着けるかどうかは灰原の記憶次第な所があるかなと思います。例えばですが、組織にいた頃に自分が生まれた直後に組織を裏切って逃亡した「超切れ者の元幹部」がいたことを噂で聞いていてそれを何かのきっかけに思い出すとか、もしくは(前にTwitterGimletさんに教えていただいた仮説なんですが)24巻の酒蔵に監禁される話で灰原が組織のPCを調べていた際に、偶然組織時代の若狭先生の顔を見ていたなどが考えられるかなと思います。いずれにせよ灰原が若狭先生の真実に自力で辿り着ける可能性もまだ残っているということですね。

(*めちゃくちゃどうでもいいんですけど、若狭先生の組織時代のコードネームは「マデイラ」だったのではないかなと予想してます。興味のある方はマデイラワインで調べてみると面白いかもしれません)


同じ道(組織で英才教育を受けてコードネームをもつほどの優秀な幹部になったが、途中で組織を裏切った)を歩んできた二人がコナンを軸に邂逅を果たした後、どのようにしてお互いの真実に辿り着くのか個人的にこのカップルの進展もとても楽しみにしてます笑



【宮野夫妻編】


⑴宮野夫妻の事故と羽田事件

羽田浩司殺人事件について初めてフォーカスされたのは89File.1117年前と同じ現場回』ですが、この時灰原の両親である宮野夫妻の事故についても触れられています。そして今回の話でも若狭先生の心からヘルエンジェルというワードが登場すると同時に、羽田浩司の遺体を思い浮かべているこれは羽田浩司の死因がAPTX4869によるものであることを知っていることを表した描写だと思いますが、もしかしたらこの描写は「羽田事件と宮野夫妻の火災事故には何らかの隠された繋がりがあるよ」という青山先生からのメッセージなのかもしれません。つまり何らかの伏線になっているのではないかという予想です。


実際二つの事件が起きた時期を推定してみると、宮野夫妻は灰原が生まれてすぐに亡くなったことが判明しているので火災事故が起こったのは1718年前だと推定され、羽田事件も17年前に起きた事件であることがわかっており、事件のタイミングが妙に符号しています。現状この二つの事件に一体どのような繋がりがあるのかまだまだ謎は深く答えは見えてきませんが、もしかしたら羽田浩司殺人事件が宮野夫妻の火災事故を起こす引き金になっていたのかもしれません


果たしてこの二つの事件のタイミングが近いのは偶然なのかそれとも二つの事件には何か隠された繋がりがあるのか今後も注目すべきポイントになってくるのではないかなと個人的に思っています(皆さんの考察などあればリプでもDMでも教えていただけると嬉しいです)



⑵宮野夫妻の火災事故に隠された謎

今まで宮野夫妻の火災事故については灰原の「不運な事故だったと聞かされていた」という曖昧な証言しかなく、本当に事故だったのかはっきりしない状態が続いています。


灰原が「焼け残った資料からAPTX4869を復活させた」と言っているので宮野夫妻が火災により焼死したことは確かですがその原因が組織を裏切ったことによって組織に消されたという流れ、すなわち他殺だったのかそれとも研究所ごと禁断のデータを消し去るために自ら火を放ったという意味での裏切り行為、すなわち自殺だったのか大きな謎は残されたままですね。この謎については以前から興味があり、考察記事も書いています。興味のある方はどうぞ↓

宮野夫妻の火災事故に隠された真実




ここまで読んでいただきありがとうございました。本シリーズが何話構成になるのかまだわかりませんが、1話目からハラハラドキドキするような展開の幕開けとなり、緋色の弾丸だけでなく本誌の方も盛り上がっていきそうですね。のちに展開予想の方で詳しく述べる予定ですが、間違いなく重要回になると思います。個人的に注目していきたいのは若狭×灰原という異色カップルの進展ですね。二人の関係性にどのような変化が訪れるのか、楽しみに待ちたいと思います。


FILE.1070『こんな所で会えるとは…』事件編考察はこちら↓

FILE.1070『こんな所で会えるとは…』事件編考察


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